ハイブリッドクラウド
近年『ニューオンプレミス』があらためて注目されている理由は、クラウド一辺倒だったIT戦略の見直しが世界的に進んでいるためである。
注目される背景から具体的な理由までリサーチし、以下にまとめました。

ニューオンプレミスとは

従来のオンプレミスと区別するために使われる概念で「クラウドの利点を取り込んだオンプレミス」がニューオンプレミスです。

項目従来オンプレミスニューオンプレミス
設置場所自社データセンター自社/専用DC/コロケーション
運用自社運用が中心自動化・マネージド前提
技術物理サーバ中心仮想化・コンテナ・Kubernetes
連携単独利用クラウドと密接に連携(ハイブリッド)

注目される理由

1. クラウドコスト問題・・・最大の理由

 クラウドの「想定外コスト」
  • 従量課金による月額費用の肥大化
  • データ転送料(Egress)の高額化
  • 常時稼働システムではオンプレより高くなるケース
 特に以下の企業で問題化
  • ECサイト
  • SaaS事業者
  • データ分析・AI基盤
  • 24時間稼働の基幹系システム

一定規模以上ではニューオンプレの方がTCOが低い


2. データ主権・法規制の強化

 日本・世界共通の動き
  • 個人情報保護法(日本)
  • GDPR(EU)
  • 各国のデータ越境規制
 企業の課題
  • データの保存場所が不明確
  • 海外クラウド事業者依存への不安
  • 監査・証跡対応の複雑化

「自社が完全に管理できる環境」が再評価


3. クラウド障害リスクの顕在化

 近年増加している問題
  • 大手クラウドのリージョン障害
  • サービス全体が止まる「広域障害」
  • 障害時の責任の所在が不明確

クラウドは「止まらない」ではなく「止まったら自社では何もできない」

 ニューオンプレミスでは
  • 障害範囲を自社で限定できる
  • クラウド障害の影響を受けない

4. 技術進化でオンプレミスの弱点が解消

 以前のオンプレミスの弱点
  • 初期構築が重い
  • 運用が属人化
  • 拡張が困難
 現在(ニューオンプレミス)
  • インフラ(サーバー、ネットワークなど)の構築・管理をコードで自動化する手法
    IaC:Infrastructure as Code(Terraform, Ansible)
  • 開発・運用に必要なCI/CD、セキュリティ、Web UI、監視ツールなどを統合し、企業がコンテナアプリを構築・運用製品群
    Kubernetes / OpenShift
  • サーバー、ストレージ、ネットワーク、仮想化ソフトウェアを一体化した仮想化基盤
    HCI(Nutanix, vSAN)
  • 自動スケール・自動復旧

「クラウドと同等の運用体験」を実現可能


5. AI・大規模データ処理との相性

 AI時代特有の事情
  • GPU常時稼働 → クラウドは非常に高額
  • 大量データの外部転送が非現実的
  • モデル・学習データの機密性

 GPUオンプレミス+必要時のみクラウドという構成が増加


6. ベンダーロックイン回避

 クラウド依存が進むと
  • 特定クラウド専用設計になる
  • 移行コストが極端に高くなる
  • 価格改定に従うしかない
 ニューオンプレミス+マルチクラウド構成では
  • 選択肢を常に保持
  • 交渉力を維持
  • 技術的自由度が高い

 

向いている企業・システム

• 基幹業務システム
• 常時稼働システム
• 大量データ処理
• AI/機械学習基盤
• 規制・監査が厳しい業界(金融・医療・公共)

関連情報

新たな選択肢「ニューオンプレミス」は検討に値するか – ITmedia エンタープライズ
オンプレミスとは?クラウドのコストを理解するためのポイントも解説 – ガートナージャパン